(秘密保護法案)異論言えない「萎縮社会」 蓮池透さん
2013年12月4日23時37分
■拉致被害者家族・蓮池透さん
拉致被害者の家族には政府機関から丁寧な状況説明がある、と思う人がいるかもしれませんが、実際は違います。捜査上や外交上の秘密を理由に、詳しい説明は家族でも受けられませんでした。
知りたいことがたくさんあります。2002年9月の小泉純一郎首相の電撃訪朝はどう実現したのか。被害者8人の「死亡」を北朝鮮の言うがままに受け入れてまで、なぜ日朝平壌宣言への署名を急いだのか。家族として知る権利があるし、隣国との歴史の一幕を正確に記録する意味でも説明が必要だと思います。
特定秘密保護法は、こうした情報を永遠に封印してしまうかもしれない。強い危惧を覚えます。一番心配するのは報道の萎縮です。政府から情報が得られない中で、新聞やテレビの報道は、家族にとって時に希望をつなぐ唯一無二の情報だったからです。
http://www.asahi.com/articles/NGY201312040030.html?google_editors_picks=true
蓮池 透(はすいけ とおる、1955年1月3日 [1]- )は、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)元副代表。1978年に北朝鮮に拉致された蓮池薫の実兄。
経歴
新潟県立柏崎高等学校、東京理科大学工学部電気工学科卒業後、1977年東京電力入社。2002年、日本原燃出向。同社燃料製造部副部長。核廃棄物再処理(MOX燃料)プロジェクトを担当。2006年、東京電力原子燃料サイクル部 部長(サイクル技術担当)。2009年夏に退社。
「最強硬派」から「柔軟路線」へ
北朝鮮による日本人拉致問題について、「拉致は国家テロ。北朝鮮への経済制裁を行え」「これは戦争ですよ。アメリカならそうするでしょう」といった発言を繰り返し、また制裁要請の為に横田滋・早紀江夫妻同様渡米するなど強硬派と目されていたが、2003年暮頃から、以前に比べて柔軟な発言が目立つようになる。翌年の第二次訪朝を機に、家族会や北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)の主流派との間で考えの違いが顕著となり、翌年4月には、事務局長から外れる。2008年以降は、北朝鮮への「圧力」に重きを置く路線の効果に疑問を呈し、政府間の直接交渉による帰国実現を訴えており、北朝鮮との「対話」にも重きを置く路線に理解を示している。2006年朝日ニュースター『ニュースの深層』に出演した際、本人が語ったところによれば、「拉致事件解決への情熱が薄らぎ、自ら一線を退き帰国者担当になった」とのこと。また、別の回の同番組では、「考えを改めたきっかけには、弟から北朝鮮の話を聞いたことにある」とも述べている。前述の家族会・救う会の右傾化・強硬化を憂い、2009年頃から、それらと一線を画する発言をおこなう一方、左派系とも見られる集会にも参加し、同年8月には現代企画室編集長の太田昌国と共著『拉致対論』を出版している。家族会・救う会の主流派は蓮池の一連の発言を「北朝鮮の代弁」と受け取り、反発している[2]。
雑誌「世界」での発言
『世界』2008年7月号には、蓮池透の拉致問題に対する次のような発言が掲載された。- 日本政府は少なくとも4度、北朝鮮を騙した。
- 地村(保志)さんは「国交がないことが拉致の背景にある」という。
- 国交正常化には拉致解決が先だとは思わない。それは一方的な主張。
- 圧力だけでは拉致問題の解決は不可能であり、対話を併用すべき。
- 拉致問題により、狭いナショナリズムが醸成された。
- 日本は植民地時代のことなど、歴史教育がよくされていない。
- 過去の清算を怠ってきた日本政府の責任で弟(蓮池薫)は拉致されたという論理も、成り立つかもしれない。
- 弟は「歴史の闇に葬り去られたことはいっぱいある」と言っている。
- 過去の清算をきちんとして朝鮮のほうが納得するようにやったらどうかと言いたい。
- 以前、横田(滋)さんの訪朝を止めたことについて謝罪したい。ウンギョンちゃんに会いに行っていただきたい。
家族会からの「退会」
2010年3月27日、家族会の総会は、「蓮池透を退会させるべきである」との旨を決議した。事務局長・増元照明は、「家族会の総意は北朝鮮への圧力を強化して交渉に臨むというもので、誤解を招く」と説明したという。翌3月28日に は、蓮池の退会が家族会から発表された。これに対し、蓮池は、「家族会の総意はあくまで被害者の救出。私をはずすことで拉致問題が解決するなら甘んじて受 け入れるが、残念でならない」「家族会の目的は被害者の救出であり、方法論が多少違ったとしても自由にものを言える多様性も必要ではないか。僕をやめさせ ることで拉致問題が少しでも進展すると判断されたのなら、甘んじて受けるしかない」とコメントしている[3][4]。
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